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Surfing Bear

夕方に久しぶりにジョギング。気持ちよく汗を流す。

キリンちゃんにかっこいいTシャツをプレゼントされご機嫌。LAのサーファーの着るおしゃれなやつなのさ。実際に海で波に乗ったことはないけれど、人生の荒波を潜り抜けてきたコグマは人生サーファーと呼ばれてもいいだろう。

いま一部の人たちの間で話題の福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)を読んでみた。これは重要な本と思われる。「生物とは何か」という問いは昔からある重要で難解な問題である。ここで著者は動的平衡(dynamic equilibrium)というルドルフ・シェーンハイマーによる概念を紹介する。私たちはなんとなく生き物を構成するものの大部分は固定的で皮膚の表面などのほんの一部のパーツのみが頻繁に入れ替わっている、といったようなイメージを持っているかもしれない。しかし、実は体を構成するたんぱく質などは日々分解され新たにつくられたものに置き換えられているというのだ。(もちろん、神経の一部とかほかの部分で頻繁には変わらない部分もあるらしい。)つまり、どうやら生き物というのは空間の中に固定的に存在している静的なものではなく、代謝を不断に繰り返しながら存在している動的なものまたは流れの中にできるパターンのようなものであるらしいのだ。そして、生物の持つこの特徴はほかの人工物にはあまり見られないもので生物と無生物をわける決定的な条件担っているのではないか、といったことが述べられている。このアイデア事態が新鮮だった。また、この著作の中である働きをすることが知られている遺伝子をノックアウトしてもその機能が失われなかったマウスの例が挙げられていて、こうしたシステムとしての生物体を説明する際にもこの動的平衡の考えが有効であることが述べられてある。

この本の中でほかに挙げられている話題としては、DNAが生物の設計図となっていることを示したオズワルト・エイブリーが過小評価されていること。野口英世のアメリカと日本での評価の違い。そして、著者自身のアメリカでのポスドク武者修行時代の研究についての説明などがある。

生物がやっていることというのはものすごく複雑でまた驚異的なことなんだけれども、その仕組みは意外に単純だったりする。まあこれは科学的方法で現象を解析すると必然的にこうなるのかもしれないのだが。。。いずれにせよ生物学というのは自分にとって非常に興味深いということがよくわかった。こうした面白さを知る機会が高校生のときにあれば大学で生物系の勉強をすることもありえただろう。しかしいまは、生物学の知見を他の分野特に社会現象を解説するのに役立てる、というスタンスを取りたいと思う。また、こうしたエキサイティングな近年の専門分野での発展を一般大衆に啓蒙する書物が膨大に発行されている日本に生まれたことを幸運に思う。

阿刀田高著『ギリシア神話を知っていますか』(新潮文庫)も読んだ。いままで、欧米人を理解したいがためにそのバックグラウンドにあると思われるキリスト教・ユダヤ教・イスラム教といったセム系一神教についての知識を得たり、インドのヒンズー教やヴェーダ哲学に関する本を読んだりしてきた。それでも、いまいち欧米にいる人たちを理解しきれないなあ、と思っていてそれは古代ギリシア・ローマを知らないからだ、と決めつけ、そっち方面を知る第一歩としてこの本を読んでみた。よく知られたギリシア神話を中心に紹介する肩肘張らないエンターテイニングな啓蒙書。もうだいぶ前にベストセラーになっていた記憶があるがそれだけの理由はある。

夏の旅行の計画が決まり、歯痛や夏風邪もなんのその。全開バリバリで突っ走るのみ。

by sauce-teru | 2007-07-26 15:08 | 日々雑感

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